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2025/04/09 16:29

「父の言葉と、私たちが歩んだ10年、そしてこれから」

少し、私たちのこれまでの歩みと、これからについて、お話しさせてください。

2015年のこと、父が長年続けてきた自動車部品の工場を、静かに閉じました。それは私にとって、一つの時代の節目となる、少し寂しくも、新たな始まりを感じさせる出来事でした。

その少し前、2013年には、NHKの番組で「これからのものづくり」というテーマで取材を受ける機会がありました。きっかけは、建築士として地域を少しでも元気にしたいという想いで作った小さなコミュニティスペースに、当時まだ目新しかった国産のデスクトップ型3Dプリンターを導入したことでした。(もしご興味があれば、当時の映像へのリンクです。)

その取材の時、父がぽつりと言ったんです。「日本での大量生産の時代は、もう終わったんだね」と。 普段は何かと意見が合わず、ぶつかることも少なくない親子なのですが…不思議と同じ工場の景色を見ながら、時代の大きな変化の足音を、二人とも同じように感じ取っていたのかもしれません。

ちょうどその頃、私はクリス・アンダーソンさんの著書『MAKERS』と出会い、「分散型製造」という考え方に強く心を動かされていました。それは、大きな工場に頼らなくても、一人ひとりがアイデアを形にできる、新しいものづくりの時代の訪れを予感させるものでした。

そんな想いを胸に、父から受け継いだ「ものづくり」の心と、建築士としての経験を繋ぐように、デジタル工作機械のCNC(Shopbot)を導入してから、あっという間に10年という時間が流れました。

「分散型製造」が当たり前になる未来は、まだ少し先のことかもしれません。それでも、この10年間で、「木」という、人の手に馴染みやすく温かい素材を通して、「自分でつくる」ことの楽しさや文化は、着実に、そして力強く、私たちの周りに広がってきたように感じています。それは、とても嬉しい変化です。

世界が目まぐるしく変化し、人との繋がり方も多様になる今、GIFTを立ち上げた時に大切にしたいと思った「GLOCAL(グローカル:地球規模の広い視野を持ちながら、地域に根差して活動する)」という視点が、ますます重要になっていると感じています。

自由に動き回ることが難しかったコロナ禍の時間。それは私たちにとって、改めて「木」という素晴らしい素材とじっくり向き合い、心の中にあったアイデアをゆっくりと温めるための、かけがえのない時間となりました。 これからは、その間に大切に育んできたアイデアを、焦らず、一つひとつ形にしていきたいと思っています。

一歩一歩、時には立ち止まり、試行錯誤を重ねながら。私たちが最初に見た夢、そしてその先にある景色へ、少しでも近づいていけるように。 そのささやかな歩みを、皆様にも温かく見守り、応援していただけたら、こんなに心強いことはありません。

そんな想いも込めて、ささやかながら特典もご用意したオンラインコミュニティも始めることにしました。

これからも、有限会社ミタキの建築部門であるミタキスペースファクトリー、そしてここGIFTを、どうぞ温かい目で見守っていただけますと幸いです。 今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

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